内容説明
「大英帝国はナチスを見習え」と、ケインズは言った。―なぜドイツだけが3年弱で世界大恐慌から脱出できたのか?―「国による有効需要の創造」の劇的効果を検証する。
目次
序章 ヒトラーとケインズ
第1章 世界大恐慌の本当の原因はドイツにあった
第2章 ヒトラーとケインズは資本主義の限界を見抜いていた
第3章 ヒトラーはケインズ理論の優等生
第4章 新しい国際経済システムを
第5章 ヒトラーとケインズの経済思想
著者等紹介
武田知弘[タケダトモヒロ]
1967年生まれ。福岡県出身。西南学院大学経済学部中退。塾講師、出版社勤務などを経て2000年からライター活動を始める。歴史の裏側、経済の裏側などをテーマに執筆している。特にナチスについては、ライフワークとしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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傘緑
35
※末尾のユダヤ陰謀論だけは読む価値ありません。 これは平易かつ的確に書かれた、優れた経済学の入門書であり歴史書であり、そして同時に凡百のナチス礼賛・ネオナチ本とは次元の異なる、ヒトラーとシャハト経済相、「(国家)社会主義ドイツ労働者党」の行った(他に比肩しうるは高橋是清ぐらい)奇跡のような経済政策にクローズアップした、現体制からすると”危険な”本であります。ケインズやクルーグマン、ピケティなどのぶ厚い専門書を読まなくても、実際のシャハトの政策とともに理論の要約が語られる本書で、経済学の肝の理解は事足ります2017/08/11
James Hayashi
33
ドイツが第1次世界大戦で敗れ、高額な賠償金を負担。ドイツ経済が行き詰まり世界経済に波及、世界大恐慌が起きる。ヒトラーが登場しケインズ理論を用い、600万人の失業者を3年で100万人までに減らした。また大企業と高額所得者に増税、その他には減税。それ故、国民から支持を得たのであろう。タイトルの両者は実質関わっていないが、同じような政策を考えていた事に驚かされる。第2次大戦以降は、ヒトラーに虐殺されたユダヤ人が、ケインズに反する金本位制のブレトン=ウッズ体制を敷き、米国だけでなく世界を牛耳る事に。参考になった。2019/12/13
はるわか
12
[経済政策の本]1930年代世界恐慌により失業率34%、失業男性600万人のドイツ経済を、ケインズ理論の忠実な実行者ヒトラーは積極的な公共投資により3年で復興させる(軍拡によらず。軍事費のGNP比はイギリスより低い)。「ドイツが破綻すれば我々(英仏米)も破綻する」とドイツへの巨額賠償金に反対したケインズ。貿易の勝ち逃げをしたアメリカ(金の不胎化)。賠償金のマルク払いを禁じたヤング案によりドイツにハイパーインフレ、アメリカの巨額の戦債が不良債権化、アメリカ株式市場暴落、世界恐慌。ヒトラー・ナチス台頭。2021/02/10
Furtwangler1
1
ヒトラー(とそのブレイン)の経済的成功の要諦は、遊んでいる労働力(つまり失業者)を活用するために、必要な借金をし経済を正常な循環に戻す仕組みを作った、ということになろう。 「なので」という日本語が出来ない人が使う言葉を多用する稚拙さが目につく。しかし、今まで録に検証もせずに蓋をしておいた問題に着目して有意味な結論を導き出した著者の功績は大きい。
ryotarocheak
1
国家社会主義ドイツ労働者党の経済政策には、刮目に価する物が多く見られる。 「資本主義でもなく、共産主義でもない」ヒトラー・ケインズ経済学は、多くの示唆に富む物ではないだろうか。2018/03/11